BtoBマーケティングとは?進め方や手法10選などの基本を解説
BtoBマーケティングは、企業を主な顧客対象とする企業にとって欠かせない取り組みです。ただ一方で、BtoBマーケティングについて体系的に理解せずに行ってきた企業や、これまでは意識せずとも成果を上げられたが、市場変化によって戦略性を求められる状況になった企業も多いのではないでしょうか。実際に、近年BtoB企業からのマーケティングのご相談が増えています。
そこで今回はBtoBマーケティングについて、BtoCマーケティングとの違い等の基本情報から、進め方、具体的な手法10選まで紹介します。BtoBマーケティングの概要や要点を網羅できるため、ぜひ最後までご覧ください。
1. BtoBマーケティングとは
BtoBマーケティングとは、企業向けに自社商品やサービスが売れる仕組みを考えて実行することです。BtoBは、「Business to Business」を指します。
2. BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違い
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いを紹介します。両者を比較した際の主な違いは、以下の通りです。
3. BtoBマーケティングの進め方
BtoBマーケティングの進め方を紹介します。具体的には以下の3ステップで進めます。
3-1. 課題整理
まずは、顧客と市場・自社・競合の3つの視点から取り組むべき「課題」を整理します。ここでのポイントは、視点をいずれかに偏らせないことです。各視点から客観的に現状を把握して、課題を整理しましょう。各視点で考えるべき具体的な項目は以下の通りです。
<顧客と市場>
- 自社の顧客は誰か
- 顧客は何を求めているか
- 顧客の購買力はどのくらいか
- 市場規模はどれくらいか
- 市場に成長性はあるか
- 市場に大きな変化はないか
<自社>
- 自社の理念やビジョンは何か(欠かせない前提)
- 自社の全社目標に対する進捗状況はどうか
- 自社(自社商品)の強みと弱みは何か
- 自社のリソース(ヒト・モノ・カネ)はどれほどか
- 自社の成功事例や失敗事例はどのようなものがあるか
<競合>
- 競合する企業はどこか
- 競合する商品・サービスは何か
- 競合(競合商品)に対する強みと弱みは何か
- 競合の成功事例や失敗事例はどのようなものがあるか
3-2. 戦略立案
次に、整理した課題を踏まえて、戦略を立案します。このステップでは以下の項目を明確にすることで、スタートからゴールまでの全体像を描きましょう。
●どの商品/サービスを
今回はどの商品・サービスを販売するのでしょうか。市場や顧客の状況を鑑みて、今販売に注力すべき適切なものを選定(開発)しましょう。
●誰に対して
今回販売する商品・サービスのターゲットは誰(どのような企業)でしょうか。具体的な顧客像を定めることにより、次のステップ「施策設計」でより適した手法を選定できるようになります。
●どのように
どのようなプロセスで見込み客を集めて、商談とクロージングにまでもっていくのでしょうか。ここでは、オンライン広告やDMなど特定の手法に絞り込む必要はありません。考え得る手法を洗い出しましょう。
●いつまでにいくら売るか
今回の売上目標額はいくらで、いつまでに達成する必要があるでしょうか。全社的な目標から逆算して、目標額と達成期日等の計画を策定します。
3-3. 施策設計
そして、施策設計を行います。前のステップで立てた戦略を実行できるレベルにまで具体化しましょう。
●具体的な手法の選定
戦略を実行するために用いるマーケティング施策を設計します。戦略で定めた顧客像に対して、効果的にアプローチできる手法を選ぶことが重要です。BtoBマーケティングで用いることが多い主な手法については次の項目で10選を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
●実施スケジュールの決定
戦略で定めた達成期日から逆算して、具体的な実施スケジュールを立てましょう。選定した手法によって手順と必要な期間が異なります。
●担当者の決定
施策内の各取り組みを誰が担当するかを決定しておくことも重要です。担当者および責任の所在を明確にしておくことで、施策が滞りなく進行していきます。
4. BtoBマーケティングに用いる主な手法10選
BtoBマーケティングに用いる手法10選を、メリットや検討に際して考慮すべき点とあわせて紹介します。
4-1. SEO
SEOとは、Googleなどの検索エンジンで「キーワード検索」をした時、自社のwebページが上位に表示されるようにする手法です。「Search Engine Optimization」の略であり、日本語では「検索エンジン最適化」といわれています。
検索上位を獲得できれば検索している(=関心が高い)多くの顧客の目に留まり、商談や購入につながる可能性が高まります。広告等とは異なり、掲載やクリックで費用が発生するわけではないため、低コストで運用できる点もメリットです。
ただし、専門的な知見を要する点や検索エンジンのアップデートで予期せぬ対応を迫られる可能性がある点、また掲載するコンテンツ制作にはリソース(外部に依頼する場合には費用)が必要な点は考慮しておくべきでしょう。
4-2. ホワイトペーパー配布
ホワイトペーパー配布とは、顧客が知りたい情報をPDFなどの資料にまとめて、自社のwebページからダウンロード可能にする手法です。資料には様々な種類があり、ノウハウをまとめた資料・商品を紹介したカタログ資料・事例紹介資料などが挙げられます。
ダウンロード時に顧客情報の入力を求めれば、そのまま見込み客の獲得につながる点はメリットです。一方で、資料作成に手間と時間を要する点や、すぐに商談や購入につながるわけではなく顧客との継続的なコミュニケーションが必要な点は考慮しておく必要があります。
4-3. オンライン広告
オンライン広告とは、Web上で出稿・掲載できる広告の総称です。web広告・ネット広告・デジタル広告と呼ばれる場合もあります。具体的には、以下のような広告です。
リスティング広告:検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面などに表示する広告
ディスプレイ広告:広告枠があるサイトやブログ、アプリに画像や動画を掲載できる広告
ネイティブ広告:ニュースサイト等に一般記事のように溶け込んで表示される広告
リターゲティング広告:顧客が過去に訪問したサイトに関する情報を再び配信する広告
タイアップ広告:自社以外のメディアや有名人等とタイアップして発信する広告
動画広告:YouTube広告のように動画サイトで流れる広告
共通するメリットとしては、デジタル環境であることから様々なデータを取得でき効果測定がしやすい点、ターゲティングしやすい点、自社サイトやECサイトなど売上に繋がるサイトへの集客につなげやすい点が挙げられます。一方で主な方法だけでも上記の通り多岐にわたり、状況に合わせた使い分けや効果的な運用(PDCA)には専門スキルが必要です。
4-4. オフライン広告
オフライン広告とは、テレビやラジオ、新聞、雑誌、看板、交通機関などで発信および掲載される広告です。オンライン広告と比較し、データが取りにくいため細かなターゲティングには不向きですが、方法によっては多くの人に接触することができるため認知拡大を行いやすい点や、エリアターゲティングを行いやすい点はメリットといえます。対して、費用が他手法と比較して高額になりがちな点、効果測定が難しい点などはデメリットです。
4-5. SNS運用
SNS運用とは、自社の公式SNSアカウントを作成して、自社や扱う商品・サービスに関する情報を投稿・シェアする手法です。
SNSは拡散力が高く認知拡大に効果的な点、無料で利用開始できるため安価な運用が可能な点はメリットといえます。ただし、最近はインフルエンサーと呼ばれる人に加え、多くの企業が参入しており、その中で効果を出すには定期的な投稿・更新などリソースや専門的なノウハウ・スキルが必要とされています。また、誤った運用をしてしまうと効果が出ないだけでなく、「炎上」を引き起こすリスクがある点は十分考慮の上検討すべきでしょう。
4-6. テレアポ
テレアポとは、顧客に電話をかけて商談のアポイントを獲得する手法です。電話営業と表現される場合もあります。
企業側から能動的にアプローチをかけられる点、顧客と直接コミュニケーションを取れることで、状況やニーズを把握しやすく効果的な営業活動につなげやすい点はメリットといえます。一方で、完全新規の場合には信用を得るのが困難な点、切り返しなど対話特有のスキルを求められる点はデメリットです。
4-7. DM送付
DM送付とは、商品・サービスを宣伝するためのチラシや冊子を顧客へ送付する手法です。DMは「ダイレクトメール」を指しています。自社保有の顧客リストに送付する方法やメディアが保有するリストにメディアから送付してもらう方法(広告)もあります。
広告内容の自由度が高い点、手元に実物が残る点、企業ブランディングにもつながる点などはメリットです。オフラインでの接触の方が効果的な顧客には有効な手段でしょう。対して、送付先の住所を取得して常に顧客データを最新にしておく必要がある点や送付後の開封状況などのデータ取得が難しく効果検証しにくい点はデメリットです。
4-8. フォームマーケティング
フォームマーケティングとは、顧客のホームページにあるお問合せフォームなどから、案内文や営業文を送信して見込み客を獲得する手法です。
メリットとしては、ターゲットを選定してアプローチをかけられる点、一旦は目を通してもらえる確率が高い点などが挙げられます。ただし、送信作業に相応の手間がかかる点、長文や画像を送信できない、受け取り手の討手によっては特定電子メール法に抵触するリスクがある点などはデメリットです。
4-9. イベントマーケティング
イベントマーケティングとは、展示会やセミナーなどを開催、或いは、メディアや他社が開催したものに協賛・出展することで、新規顧客の獲得や見込み客の教育を行う手法です。
一度に多くの見込み顧客と直接コミュニケーションできる点、自社の商品を直接見て触れてもらえる点はメリットです。ただ、イベント開催には事前準備・当日ともに多大なリソースが必要とされる点は覚悟しておくべきでしょう。
4-10. ウェビナー
ウェビナーとは、従来は会場で行うセミナーをオンライン上で開催する手法です。webとセミナーが掛け合わされてできた造語です。リアルタイム配信型と録画配信型の2種類があります。コロナ禍で会場でのイベント開催が難しくなったことで一気に普及しました。
ウェビナー向けのツールを活用することで、従来のセミナーと比較して準備負担やコストなどの開催ハードルが大幅に下がりました。一方で、通信環境に依存する点、また、オンライン環境(顔が見えない環境)であることから顧客は参加しやすい反面、途中離脱もしやすいようで、効果を出すためには企画内容の工夫が一層求められます。
5. まとめ
BtoBマーケティングとは、企業向けに自社商品・サービスが売れる仕組みを考えて実行することです。消費者を対象とするBtoCマーケティングとは、決定権者(意思決定プロセス)、対象数などが異なります。一方で、マーケティングの基本的な考え方はBtoCマーケティングと共通している部分が多いのも事実です。
BtoBマーケティングの進め方は3ステップです。まずは市場・自社・競合の3つの視点から取り組むべき課題を整理します。次に戦略立案により、スタートからゴールまでの全体像を描きましょう。そして施策設計により、戦略を実行レベルにまで具体化します。もちろん、実行以降は振りかえりと改善が欠かせません。
また、BtoBマーケティングに用いる手法10選を紹介しました。SEOやホワイトペーパー配布、各種広告、SNS運用など、対企業向けに用いられることが多い手法について、メリット・考慮すべき点とあわせてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。