レポート

デジタルマーケティングとは?種類や企業が注目する理由を紹介

デジタルマーケティングは、今や企業が販売活動を行う上では必須の取り組みといえます。なぜなら、インターネットやパソコン等デジタル技術を一切利用していない顧客は皆無だからです。

ただ一方で、「デジタルマーケティングは様々な施策があり過ぎてよく分からない」「自社はまだまだオフラインでの営業に頼っている」という企業も少なくありません。

そこで本記事では、デジタルマーケティングについて、定義や似た用語との違い、注目される理由、主な手法と活用が期待されている技術、導入や運用における注意点を紹介します。

1. デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングとは、インターネットやスマートフォン、パソコンなどデジタルメディア・デバイスを活用したマーケティング手法の総称です。例えば、オウンドメディアやWeb広告、SNS、IoT、アプリなどを用いたマーケティングが挙げられます。

2. デジタルマーケティング・マーケティング・webマーケティングの違い

マーケティング・デジタルマーケティング・Webマーケティングの違いは以下の通りです。厳密には違いではなく、意味する範囲の大きさが異なるだけです。

つまり、マーケティングが最も広義であり、デジタルマーケティングとWebマーケティングを含みます。さらにデジタルマーケティングのうち、Web上で完結するものをwebマーケティングと呼びます。認識の違いで、実務に支障をきたすほどの恐れはありませんが、念のため混同しないように注意しましょう。

3. デジタルマーケティングに企業が注目する理由

デジタルマーケティングに企業が注目する主な理由は、インターネットやパソコン、スマートフォンといったデジタル技術・端末の普及です。

総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、デジタルを活用する際に必要となるインターネットに接続するための端末について、2021年の世帯保有率は「モバイル端末全体」で97.3%であり、その内数である「スマートフォン」は88.6%、パソコンは69.8%でした。もちろん、企業におけるインターネットやパソコンの普及率については、それ以上といえるでしょう。

そのため、対消費者・対企業に限らず、人々の消費行動・情報収集スタイルの変化を踏まえると、デジタルマーケティングを前提とすべきケースが増えていると言えるでしょう。

さらに、デジタル技術を活用することで顧客のニーズや行動に関するデータを把握しやすくなります。後の項目で紹介するようにデジタルマーケティングの手法は日に日に進化していますので、企業にとってデジタルマーケティングの重要度はさらに増していくでしょう。

4. デジタルマーケティングの主な手法

デジタルマーケティングの主な手法を紹介します。

4-1. オウンドメディアマーケティング/SEO

オウンドメディアマーケティングとは、自社が管理・運営するWebサイトを用いた施策です。なかでも主流なのがSEO(Search Engine optimization:検索エンジン最適化)であり、検索エンジンでキーワード検索をした時、自社のwebページが上位に表示されるようにするための施策です。

検索上位を獲得できれば多くの顧客の目に留まり、商談や購入につながる可能性が高まります。ただし、専門的な知見を要する点や、検索エンジンのアップデートで予期せぬ順位変動が起こる可能性がある点は留意しておきましょう。

4-2. オンライン広告

オンライン広告とは、Web上で出稿・掲載できる広告の総称です。web広告・ネット広告・デジタル広告と呼ばれる場合もあります。例えば、リスティング広告、ディスプレイ広告、リターゲティング広告、動画広告などが挙げられます。

web上に掲載されるため効果測定がしやすい点、ターゲティングしやすい点が特長ですが、運用には特有のスキルを要します。

4-3. SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、自社の公式SNSアカウントを用いて、自社や商品に関する情報を投稿・シェアする施策です。

拡散力が高いSNSの利点を生かして商品の認知を高めることを期待できますが、一方で誤った運用や投稿を行ってしまうと「炎上」を引き起こすため注意が必要です。他社の好事例や悪事例をどちらも参考にして、適切かつ効果的な運用を心がけましょう。

4-4. Eメールマーケティング

Eメールマーケティングとは、顧客に対して、自社や商品、関連する情報をメールで送信することで商談や購入へとつなげる施策です。具体的には、以下のような種類があります。
               
●メールマガジン                
キャンペーンや新商品の情報、お役立ち情報などを配信する。顧客との関係維持にも有効。               
●ターゲティングメール
セグメントメールとも呼ばれる、エリアや誕生日など対象を絞って送信する。
               
●ステップメール                
顧客のWeb上での行動に合わせて段階的にメールを送信し、徐々に購買意欲を高めて最終的に購入へつなげる                                
●リターゲティングメール                
「商品ページを閲覧した」など特定の条件を満たしたユーザーへメールを送信する。

メールを開きたくなる件名の考案、購買意欲の向上につながるような文章作成、メールを送るタイミングなど、特有のノウハウが欠かせません。

4-5. アプリマーケティング

アプリマーケティングとは、スマートフォンなどに対応した自社アプリを用いて、顧客との継続的な関係性構築から商品購入へとつなげる施策です。アプリ限定のキャンペーンや割引クーポンなどで、購入意欲を高める手法がよく知られているところでしょう。先に述べたスマートフォンの普及率が高まっている背景を受けて、より注目されています。

4-6. 動画マーケティング

動画マーケティングとは、映像コンテンツを用いて販売促進や集客などを行う施策です。様々な調査で、年々インターネット動画視聴時間が増えていることが公表されています。映像ならではの特徴を活かし、商品に対する認知度や興味・関心を向上させます。YouTubeでは様々なテーマの動画が日々アップロードされておりますし、InstagramやTikTokなどのショート動画で話題化に成功している例もあるように、マーケティング施策の王道の一つとなっているようです。

映像と音により関心を惹きやすい点や記憶に残りやすい点などが特長ですが、効果を出すには企画・編集に関するノウハウが重要です。

4-7. IoTの活用

そもそもIoTとは「Internet of Things」の略であり、モノのインターネットと訳されます。昨今、IoTを活用したマーケティングが当たり前のように浸透しています。

例えば、デジタルサイネージのIoT化です。デジタルサイネージとは、電子モニターに画像や映像を表示する掲示板のことです。ある小売店の事例では、目線を感知できる超小型カメラ付きデジタルサイネージを店舗に複数台設置し、場所・画面サイズ・音量による視認性の変化を計測しています。

今後は、デジタルサイネージの視聴者層に応じた広告の表示、広告を視聴して購入に至った人数の計測等、さらにマーケティングに活かせる技術の開発が期待されます。

4-8. マーケティングオートメーション(MA)

マーケティングオートメーション(MA)とは、ここまで紹介したようなマーケティング施策を自動化・効率化・省力化するためのツールです。例えば、特定の条件を満たした見込み客へのメールやチャットメッセージの自動配信、キャンセル防止用のリマインドメッセージ自動送信などを行います。

4-9. その他デジタルマーケティングで活用される技術

その他デジタルマーケティングで活用される技術をまとめて紹介します。いずれもマーケティング分野において導入が進み、更なる活用が期待される技術です。
               
●AI(人工知能)                
購買履歴からAIが好みを分析して、おすすめ商品を自動提案といった活用を期待できる。                
●ビックデータ                
SNSの利用状況、Webサイトの閲覧状況、購買履歴など膨大なデータ群から顧客の傾向を分析し、マーケティングに活用できる。                
●フィンテック                
金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語。スマートフォンも用いた決済システムなどが代表例。                
●CRM(顧客管理システム)                
蓄積された顧客情報(年齢や性別などの基本データ+購入履歴や金額)を用いて、対象毎の提案や施策に活用できる。                
●VR・AR                
映像だけでなく音や感触まで再現した仮想世界を作るVR・現実世界にCGを重ね合わせるARを用いて動画以上の訴求力を発揮する。

5. デジタルマーケティングの注意点

デジタルマーケティングに取り組む際には以下の点に注意が必要です。

5-1. 「手段の目的化」が起きやすい

デジタルマーケティングでは「手段の目的化」が起こりやすいため注意が必要です。ここまでに紹介した通りデジタルマーケティングには、新たな技術やノウハウを用いた手法が多く存在します。

ただ一方で、真新しさや他社の成功事例に惹かれて導入したものの、期待した成果が出ず、途中でやめてしまったというケースも散見されます。導入に際しては、まずは事業戦略・マーケティング戦略をもとに、デジタルマーケティングの目的を明確にした上で最適な手法を選びましょう。また、成果が出ない場合には、手法が誤っているのか、或いは、運用体制・スキルが不足しているのか見極めたうえで次のアクションを取ることが重要です。

5-2. マーケティングとデジタル技術の知識が求められる

マーケティングとデジタル技術、どちらの知識も求められる点にも注意しなければなりません。「営業経験が豊富で自社の市場性を熟知している」かつ「最新のデジタル技術にも精通している」といった社員は決して決して多くはないでしょう。そのため導入時は、デジタルマーケティングを得意とする企業に相談するのもおすすめです。

5-3. デジタルマーケティングを魔法の杖と誤解しない

デジタルツールは導入すれば、すべて自動で動いてくれて効率的に成果を出せると誤解されやすいようです。しかし、実際には社内でデジタルツールを使いこなし、成果をあげるには運用ノウハウとリソース、適切な社内への落とし込みが不可欠であり、想像以上に地道な取り組みが必要なケースが多いのが実態です。そのため、導入に際しては、無理のない計画、スケジュールを策定し、一歩一歩進めていくという姿勢も重要です。

6. まとめ

デジタルマーケティングとは、インターネットやスマートフォン、パソコンなどデジタル技術・端末を用いたマーケティング手法の総称です。インターネットやスマートフォンが普及した現代で販売活動を行う企業にとっては欠かせない取り組みといえます。なお「マーケティング・デジタルマーケティング・Webマーケティング」は意味の広さが異なっており、記事内の図を見れば一目瞭然です。

デジタルマーケティングの主な施策を紹介しました。オウンドメディアやSNS、Eメール、アプリ、動画、IoTなどを用いた施策があります。その他にも、今後さらにデジタルマーケティングへの活用が期待される技術も一覧にしているため、ぜひ参考にしてください。

ただし、デジタルマーケティングを導入する上で注意点が2点あります。1つ目は運用に翻弄されて「手段の目的化」が起きやすいこと2つ目はマーケティングとデジタル技術の両知識が必要なことです。デジタルマーケティングはあくまでもマーケティング目的を実現するための手段であることを忘れず、上位レイヤーのマーケティング戦略から落とし込まれた最適な手法を選択し実行することを心がけましょう。

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