レポート

競争優位性を高めるブランディングとは?目的・進め方・注意点を解説

企業の独自性を世の中に示すうえで欠かせない「ブランディング」。企業自体はもちろん、商品・サービスに関連する世界観やイメージを顧客に伝え、他とは違う存在感をアピールする取り組みです。本記事では、ブランディングの目的や具体的な進め方、そしてブランディングを行ううえでの注意点を解説します。

1. ブランディングとは

ブランディングとは、自社の価値を伝え、「〇〇といえばこの企業」のような他とは違う独自性を顧客の中に植え付けるための活動全般を指す言葉です。ここでは、なぜ企業にとってブランディングが必要なのか、そしてマーケティングとどのような関係があるのかを説明します。

1-1. ブランディングが必要な理由

ブランディングの目的は、主に次の3つです。

①競争優位性向上
ブランディングによって他社や他社商品・サービスとの差別化を図る

②顧客の信頼獲得
企業そのものや、提供する商品・サービスの信頼性と品質の高さをアピールする

③顧客のロイヤリティを高める
ブランドイメージを固めることでファンを獲得し、顧客と長期的な関係を築く

このことから、ブランディング活動によるブランド確立の強弱は競合優位性を築き長期的な成長に大きく影響を与えるものだとわかります。また、上記3つの要素を追求することで、結果として自社の利益率向上・市場での影響力の発揮というメリットも得られます。

2. ブランディングには2つの種類がある

ブランディングには、アウターブランディングとインナーブランディングの2つの種類があります。アウターブランディングはさらに2つに細分化されるため、それぞれ詳しく解説します。

2-1. アウターブランディング

アウターブランディングとは、顧客や取引先、投資家、社会などの社外に向けたブランディング活動です。企業に対するイメージ形成と収益の増加に直結する重要なものですが、アウターブランディングは「商品・サービス・事業のブランディング」と「採用ブランディング」の2つに分けられます。

①商品・サービス・事業のブランディング
企業が行う事業そのものや、提供する商品・サービスのブランド価値を高めるための取り組みです。認知度や好感度の上昇、市場での競争優位性の確立につながる重要な部分です。商品・サービスの良さやストーリーを伝えるだけでなく、社会貢献活動などの企業が果たす社会的責任をアピールすることで、より自社の存在を強く印象づけて長期的なファンの獲得や信頼度の向上が見込めます。

②採用ブランディング
自社で働く魅力や他社との違いをアピールし、優秀な人材の獲得につなげるためのブランディング活動です。人材の流動化が進む昨今、自社で長く活躍する人材の獲得は多くの企業にとって急務となっています。採用ブランディングで企業が目指す姿を広く知ってもらえれば、入社後のミスマッチを防ぎながら自社の長期的な成長と組織力の強化につながります。

2-2. インナーブランディング

インナーブランディングとは、経営理念など自社が大事にする考え方を社内に広めること、つまり社員向けのブランディング活動です。経営活動の根底にある価値観を正しく理解し、社員の共感を生むのが目的です。それにより、商品・サービスが社会にもたらす影響を改めて認識し、社員が自社で働くことに誇りを持ちます。インナーブランディングは社員同士のチームワークやコミュニケーションにも良い影響を与え、企業全体のイメージ向上にも効果を発揮するでしょう。

3. ブランディングの進め方3つのステップ

ブランディングを進めるためには、以下の3つのステップを順序立てておこなうことが重要です。

STEP1:現状の分析と目標設定

自社が市場の中でどのような立ち位置にいるのかを分析し、理想の状態との差分を埋めるための目標設定を行います。その過程では、競合他社の分析やトレンドの把握、顧客ニーズを知るための調査も必要となるでしょう。それらの情報をもとに、自社が今後強化すべきポイントや押し出すべき強みといったブランディングの方向性を明確にします。

STEP2:ブランドアイデンティティの確立

ブランドアイデンティティは、「顧客にこんなイメージを持って欲しい」「商品・サービスを使うことで、こんな価値を感じて欲しい」という特徴や価値観を具体化したものです。単にロゴやタグラインを作るのではなく、ターゲットの頭の中に確立したいものを言語化した上で、それをロゴやタグラインなどに落とし込むことが重要です。

STEP3:戦略立案と実施

ここまでで整理した現状と理想の姿、そして広くアピールしたい自社の価値観に沿って具体的な戦略を立案し、実行していきます。ブランディング活動に関する発信は基本的に企業やそのブランドがターゲットと接触するあらゆる面で統一されている必要があります。商品パッケージやWebサイト、広告、イベントなどのプロモーション活動はもちろんですが、営業現場や問い合わせ窓口などもその対象です。成功しているブランドはこのような取り組みを長年にわたって徹底的に行っています。

4. ブランディングを進める際の注意点

ブランディングを進めるうえでは、いくつか注意すべきポイントがあります。自社のブランディング活動が頓挫しないためにも、事前に把握して対策を練っておきましょう。

4-1. 時間をかけておこなう必要がある

ブランディングは数か月ですぐに成果が目に見えるものではありません。時には年単位での取り組みは当たり前であり、企業やブランドが存続している間は継続的に行うものです。もちろん、中長期的な取り組みの中で市場の反応を見ながら柔軟な対応を求められる場合もあります。自社でブランディングを行う際は、中長期で時間がかかることを社内でしっかりと認識し、丁寧な戦略構築と着実な実施が重要です。

4-2. 効果検証とブラッシュアップは欠かせない

ブランディング戦略は単発で実施して満足するのではなく、効果を定期的に検証し、必要に応じて修正・改善を行いましょう。その際に、上述した通り一朝一夕では成果が出にくい点を踏まえ、中間目標を設定し、短期的な活動結果を客観的に評価するための仕組みや体制づくりがポイントです。中長期的な取り組みが重要であることを頭では理解していても、「上手く進んでいる」という実感を得られないと、経営陣は予算投下に躊躇してしまうのは当然ですし、実行メンバーも取り組みに懐疑的になり頓挫しかねません。そのため、中長期的な目標に対する中間目標・KPIを見極め、定点観測できる仕組みを構築しておくことも重要です。

5. まとめ

ブランディングは企業の成長や競争力向上に不可欠な要素です。適切なブランディング戦略の立案と実施を通じて、企業のブランド価値を高め、顧客の心をつかむことが重要です。正確な市場分析と顧客のニーズに合わせた目標設定、そして継続的な改善活動を行いながら、効果的なブランディングを展開しましょう。

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