レポート

Z世代マーケティングとは?企業の新世代戦略と成功事例6選を解説

2023年時点において「Z世代」は世界的に大きな消費者層であり、企業がマーケティングを進める上で重要なターゲット層です。本記事ではZ世代マーケティングの概要や特徴、実施プロセス、成功事例を解説します。

1. Z世代マーケティングとは?

Z世代マーケティングはZ世代の特性や価値観を理解し、効果的にアプローチするためのマーケティング手法です。             
Z世代は日本の人口の約15%を占め、世界的には30%以上を構成しています。企業のマーケティングや商品開発を進める上で重要なターゲット層として注目されています。             
            
※総務省統計局人口推計             
※UN Department of Economic and Social Affairs           

1-1. Z世代の特徴

  • ソーシャルネイティブ
  • 多様性の尊重
  • 社会的な課題への関心
                 

Z世代は1990年代後半から2010年代前半に生まれた人々を指します※3。前の世代(1980年代~90年代前半生まれ)を「Y世代(ミレニアル世代)」と呼んでいたことから、アルファベットの次の文字である「Z」を取って名付けられました。             
ここではZ世代の価値観や行動様式に関する独自の特徴を「ソーシャルネイティブ」、「多様性の尊重」、「社会的な課題への関心」という観点から解説します。             
            
※研究機関、専門家によって年代定義が異なる場合があります。           

               

<ソーシャルネイティブ>                
Z世代はインターネットやデジタル機器が日常の一部として使用される時代に育ちました。テクノロジーを自然に使いこなす能力があり、SNSや動画共有サイトでリアルタイムに情報収集やコミュニケーションを行います。                                
<多様性の尊重>                
Z世代はインターネットを使用したコミュニケーションに慣れており、国境や世代を超えて、様々な文化や価値観に接触しています。そのため、多様性を尊重し、包摂的な考えを持つ傾向があります。                                
<社会的な課題への関心>                
Z世代が受けた教育は単なる知識の蓄積/伝達ではありません。批判的思考や問題解決能力の育成に重点が置かれています。Z世代は社会的課題への関心が高く、積極的に変革を求めている人が多いのも特徴の一つでしょう。                

1-2. Z世代マーケティングに取り組む理由

  • 巨大な市場機会
  • ブランドロイヤリティ形成のしやすさ
  • デジタル変革推進の動機づけ
                 

Z世代の市場規模の大きさ、ブランドへの強いロイヤリティ、デジタルへの適応力は企業に新しいビジネスチャンスをもたらします。Z世代への対応は企業が競争力を保ち、未来の市場をリードするために重要です。                           
<巨大な市場機会>                
Z世代は日本の人口の約15%、世界的には30%以上を占めます。この広大なデモグラフィックは企業にとって新しいビジネスチャンスであることは間違いありません。特に、より市場規模の大きなグローバルで事業を展開する企業はZ世代への理解を進める必要があります。                
               
<ブランドロイヤリティ形成のしやすさ>                
Z世代は製品やサービスを選択する際に、それらが持つ社会的意義に重きを置く傾向にあり、企業の提供する製品やサービスに社会的意義が認められれば、Z世代のロイヤリティが得られる可能性があります。また、Z世代はSNSなどでの情報発信に慣れている世代でもあり、製品やサービスの社会的意義を広めてくれやすいという特徴もあります。Z世代をターゲットにすることで、ブランドロイヤリティ形成はスピーディーに進めやすいともいえるでしょう。                
               
<デジタル変革推進の動機づけ>                
Z世代マーケティングでは新技術や新プラットフォームへの理解が大切です。Z世代はデジタルネイティブ、さらには、ソーシャルネイティブとして、イノベーティブなサービスや製品を抵抗なく受け入れ、すぐに理解して使用します。Z世代マーケティングを進めるためには、企業はデジタル変革への対応が必然となり、結果として昨今注目されたDXを推進することにも繋がります。                

2. Z世代マーケティングのプロセス

Z世代にフォーカスしたマーケティングプロセス※4を解説します。特にZ世代はインターネットで世界中から多様な価値観を学んでいます。ターゲット分析においてはより細やかなセグメンテーションが必要になります。                                  
詳しく見ていきましょう。                

2-1. ターゲット分析

これまでZ世代の大まかな特徴を見てきましたが、マーケティングにおけるターゲット分析ではZ世代を一括りにすることは避けなければなりません。Z世代のターゲット層は一様ではなく、さまざまな価値観を持つ個人で構成されています。サブセグメントを特定し、インサイトやコミュニケーションチャネルを詳細に分析することが求められます。緻密なターゲット分析はZ世代マーケティングの成功にとって重要です。                                
※大きな市場や顧客層をさらに細かく分類したカテゴリーやグループです。                

2-2. 目標設定

売上やブランド認知度の向上やエンゲージメントの強化といった具体的なマーケティング目標を設定します。KPIの選定や評価基準はZ世代に最適化させましょう。SNSフォロワー数や投稿のシェア数、エンゲージメント率など、デジタルメディア(プラットフォーム)の視点も欠かせないでしょう。                

2-3. コンテンツ戦略の構築

Z世代はネットサーフィンやSNSを頻繁に利用します。Z世代マーケティングでのコンテンツ展開は主にデジタルドメインになります。解析ツールなどを利用し、コンテンツ戦略を優位に進めていきましょう。                

2-4. エンゲージメント

単なる商品/サービスへの関心喚起に留まらず、相互の深いコミュニケーションや補完関係を追求します。販売や契約後の関係も重要になってきます。エンゲージメントを強化できると、Z世代は高い顧客ロイヤリティに繋がり、LTV(Life Time value:顧客生涯価値)向上に加え、周囲やインターネット空間での拡散性も期待できます。                

2-5. 最適化と関係維持

単なる商品/サービスへの関心喚起に留まらず、相互の深いコミュニケーションや補完関係を追求します。販売や契約後の関係も重要になってきます。エンゲージメントを強化できると、Z世代は高い顧客ロイヤリティに繋がり、LTV(Life Time value:顧客生涯価値)向上に加え、周囲やインターネット空間での拡散性も期待できます。                

3. Z世代マーケティングの成功事例6選

Z世代マーケティングを成功させるにはZ世代の特徴をしっかりと理解し、実施に反映させることが大切です。ここでは具体的なZ世代マーケティングの成功例を解説します。           

3-1. 大塚製薬株式会社

Z世代の特性である「社会的な取り組みへの関心」にフォーカスしたマーケティングの成功事例です。大塚製薬は人気商品のポカリスウェットでリターナル瓶の導入を開始しました。商品購入でサステナブルな社会実現に貢献できることから、Z世代から多くの支持を集めています。                
               
2022年7月から循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」を利用した瓶回収を開始しています。瓶ポカリスウェット自体の値段は1本230円(税別)です。消費者は瓶を返却するとデポジット料金として70円を受け取ることができるしくみです。                

3-2. 株式会社湖池屋

Z世代が使用する主要なSNSプラットフォームに「LINE」があります。湖池屋はLINE上でプレイできるゲーム「湖池屋FARM 大豊作!」を2023年1月に期間限定でリリースしました。                
               
コンテンツ戦略をZ世代に最適化させ、人気のSNS「LINE」をチャネルとして選定しています。アプリを新たにダウンロードする手間もかからず、Z世代から気軽にアクセスしてもらえます。ゲームプレイによって割引クーポンなどが入手できるインセンティブによってスムーズに自社商品に購入きっかけを提供していることで注目されています。                
               
※「湖池屋FARM 大豊作!」のプレイ期間は2023年7月までです。                

3-3. 小林製薬株式会社

小林製薬は「スミガキ マウスリンス」でVTuber※8を採用したプロモーションを行い、Z世代への販路を拡大しています。スミガキ マウスリンスはもともと50代以上をターゲット層とした商品でした。VTuberを通してYouTubeなどで商品を知ってもらうことで、自分たち向けのものということを認識してもらいやすく、50代以上向けという従来のターゲット像に引っ張られることなく、Z世代の認知度を高め、総合的な販売増加につなげています。                                
Z世代にとってVTuberは身近な存在です。コンテンツ戦略においても、エンゲージメント強化においてもVTuberの活用は有効です。                
               
※「VTuber」は2D/3Dアバターを使って活動しているYouTuberの総称です。                

3-4. 株式会社サンリオ

ハローキティなどのキャラクターで有名なサンリオはメタバースマーケティングを進めています。2023年1月のメタバースイベントではグローバルで120万人以上の来場者を記録し、新たなデジタルドメインとしての可能性を示しました。                
               
Z世代にとってメタバースは身近な存在です。FortniteやRobloxなどは非常に人気があります。企業のデジタルマーケティングにおいても重要なドメインの一つとなってくるでしょう。                
               
※メタバースはインターネット上の仮想空間です。ユーザーはアバターなどを利用して仮想空間で様々な体験をすることができます。                

3-5. 株式会社資生堂

資生堂はターゲット分析においてZ世代を詳細にセグメントしています。「アジアのZ世代男性の自分らしい生き方の実現をサポート」というビジョンを掲げ、スキンケアブランド「SIDEKICK」をリリースしました。                                
Z世代の持つ多様な価値観を捉えることで生まれたブランドといえるでしょう。男性が持つ美意識といった新たな価値観に焦点を当てることで化粧品市場のさらなる拡大が期待されています。                

3-6. ワイモバイル株式会社

ワイモバイルは2018年、TikTokを用いたZ世代マーケティングを成功させています。TikTokはZ世代から最も支持されているSNSプラットフォームの一つです。ワイモバイルのキャンペーンでは「#と思いきやダンス」でショート動画を投稿すると、実際のワイモバイルのCMに出演するチャンスが得られました。                                
人気のTikToker「ねお」さんを起用し、インフルエンサーマーケティングも進めています。Z世代の共有志向を上手く刺激し、多くの若者を取り込んだことでキャンペーンの盛り上がりとともに、Z世代のワイモバイルに対する認知度向上につなげています。                

4. Z世代マーケティングの展望

今後2030年代にわたってZ世代はあらゆるビジネス分野で大きな比率を占める消費者層となります。Z世代マーケティングの展望を知ることで、より効果的な戦略を組むことができます。           

4-1. グローバル戦略としての新世代対応

Z世代はグローバル化の進行と共に育ってきたため、国境を越えた情報共有やコミュニケーションに抵抗がありません。インターネットを使用して、世界中のブランドや商品にアクセスします。                
               
企業は国/地域や文化を超えてZ世代とのエンゲージメントを強化し、グローバルなブランドロイヤリティを築く必要があります。                

4-2. 新たなデジタルドメインは?

新たなデジタルドメインとしてメタバースやAR/VR技術を活用したプラットフォームが注目されています。                                
新ドメインではより没入的な体験や、現実とデジタルが融合した新しいコミュニケーションが実現するとされています。企業は新たなデジタルドメインでマーケティング戦略を進めることで、Z世代とのエンゲージメントを一段と深化させることができるでしょう。                

5. まとめ

Z世代はソーシャルネイティブとしてインターネットを駆使し、世界中の様々な商品やサービスにアクセスするだけでなく、SNS空間上で他者とのコミュニケーションを日常的に行っています。ソーシャル空間の利用が当たり前のZ世代の特徴を捉えた上で、国内ビジネスはもちろん、グローバル視点に基づいた企業戦略・マーケティング活動を行っていくことが非常に重要です。            
           
本記事ではZ世代マーケティングの概要や特徴、実施プロセス、成功事例を解説しました。Z世代マーケティングを進める方、計画をしている方々に向けてお役に立てる情報となれば幸いです。            

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